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明るいだけじゃもったいない!お家の照明どう選ぶ?|光の効果から読み解く照明コーディネート【基礎編】

お家の照明の選び方はどうしたらよいか?インテリアコーディネーターが解説する照明コーディネート

1.照明ってどんなもの?

「照明のデザインはこんなものが良いな」、「できる限り明るくしたい」「掃除がラクな方が良い」などお家を建てるときに絶対に考えて取り付ける照明器具。そもそも照明ってなに?

照明の役割


当たり前ですが、照明は「光を出す道具」です。でも、光は目に見えません。
どうしたら光を見る事ができるかというと、照明器具から出た光が何かの物体に当たり、その物体を見る事で人は光を感じることができます。
空間を明るくするには、部屋のどこかへ光を当ててその光と明るさを人が感じること。これが照明の基本の役割です。
その光を使い住まいの様々な空間に求められる光の形を選んでいくことで暮らしをより豊かにすることができる、住まいにとってとても大切な道具です。

LED照明といままでの照明の違い

LED照明と白熱灯、蛍光灯との違いは何でしょう?
「白熱灯」は、フィラメントという細い線を熱であたためて光を放ちます。熱するときのパワーに多くの電力を使います。熱であたためて作る光は暖かみがあり、やわらかく癒しの効果が高いと言えます。キラキラっとした光も白熱灯の得意分野です。
「蛍光灯」は管の中で電子が踊りながら、中に入っている水銀とぶつかって紫外線を放出します。その紫外線が管の内側に塗ってある蛍光物質に当たり光ります。蛍光灯の中には、水銀や紫外線があるため、廃棄するときには注意が必要です。蛍光灯は電気が通ってから光を出すまでの立ち上げの時間が必要で、この時に多くの電力を消費しますので入り切りの多い場所より長時間点灯する場所に向いています。
「LED」は2つの半導体に電気を通すことで電気の粒ができ、それがぶつかり合って合体しそのエネルギーで光を放ちます。このエネルギーの効率は他の電球と比べるととても高い効率で光を出すことができます。LED照明は電球型または照明器具と一体化したものと2種類の照明器具があります。

-それぞれのメリット-

<白熱灯>コストが安い 落ち着く光が出せる
<蛍光灯>長寿命(600016000時間)省電力 電球の形がたくさんある。
LED電球>超長寿命(40000時間)省電力 紫外線、赤外線がほとんど含まれない 振動や衝撃につよい

2.お家に使う照明器具とその特徴

お家に使う主な照明器具の種類をご紹介します。

ダウンライト

天井に埋め込んでしまう、すっきりとした照明器具です。住宅で主に使うものはφ100やφ75など丸い形をしたものが多いですが、四角い形のものもあります。最近はこのダウンライトをメイン照明として使用することが多くなりました。
ダウンライトには見た目ではわかりにくい様々な種類があります。明るさ、光の広がり方など部屋の広さや用途によって使い分けることが必要です。
設計士やインテリアコーディネーターなど基礎知識のある方に相談し選定することがお勧めです。

 

 

シーリングライト

部屋の真ん中に簡単に取り付けができる丸や四角の照明器具です。ホームセンターや家電量販店で簡単に手に入る、まさにこれが王道の住宅照明器具です。
一部屋に一つの照明器具で明るさをまかなうには最適で工事費用やメンテナンスを含めて安価であることやリモコンがセットになっていて使い勝手がわかりやすいことなどがメリットです。
部屋全体にフラットな光が広がるため、しっとりとした雰囲気作りには不向きといえます。

ブラケットライト

壁に取り付ける照明器具です。間接照明のひとつになるデザインも多く、部屋のワンポイントや廊下、トイレなどで使用すると優しく柔らかい雰囲気を作ることができます。また、壁に光をつくることで空間にリズムを生むことができます。
階段の照明はブラケットライトを使用するとメンテナンスがしやすい位置に取り付けることができます。

ペンダントライト

天井からコードを長く吊り下げて使用する照明器具です。部屋のアクセントになり、インテリア性をUPすることができます。ダイニングテーブル、キッチン手元灯などにデザインも含めて使われることが多いです。天井から吊り下がるため光の位置が低くなり、テーブル面や作業面をしっかりと照らすことができます。反対に光を通さないカバーで覆っているデザインの場合は、周囲が暗くなることもあるため、全体の明るさとデザインのバランスに注意が必要です。

間接照明(建築化照明)

間接照明(建築化照明)とは建物と一体化して空間に光を出していく照明計画の手法です。照明器具の姿を見せずに自然な光のグラデーションが包み込むような癒しの空間をつくります。また、建物の持つ美しさや素材の表情を最大限に表現したい時にも適した手法です。間接照明(建築化照明)を使いたいときには建物と一体化した計画と適した配置が必要です。
設計の出来るだけ早い段階で設計士に伝えることが大切です。
間取り決定後は設置位置の難易度が上がり、設置が難しい場合もあります。

3.光の色とその効果

光の色を気にしたことはありますか?お家で過ごす光の色は人間の生体リズムと深いかかわりがあります。

お家で使う光の色と適した用途

現在住宅の照明器具で主に使われている電気の色は3つあります。

①昼白色(ちゅうはくしょく)
白っぽいさわやかな色
適した用途:勉強や仕事をする空間
      作業性を高めたい空間

温白色(おんぱくしょく)
ニュートラルでなじみやすい自然な色
適した用途:メイクをする時は特におすすめ。
      クローゼットなどの自然な光を必要とする空間

電球色(でんきゅうしょく)
白熱灯のような温かい赤みのある色
適した用途:リビングや寝室などリラックスしたい空間
      料理をおいしく見せる効果があるためダイニングテーブルの照明


光の色と心理的効果

人間は自然に24時間を把握し感じることができる力を生まれながらに持っています。それを「生体リズム」や「体内リズム」と言います。この生体リズムは人間が時計を見ずに24時間(1日)を調整する機能です。実際には24時間よりも少し長い時間を1日と換算している人が多いと言われています。
その時間のずれの調整をする方法があります。
「①食事」「②運動」に加えて、学校へ行く、会社へ行くなどの「③社会的因子」そして「④環境」。環境とは昼と夜の気温の変化や会社と自宅の音やにおいの違いなどを指しています。最後に「⑤明暗の変化」。この5つのバランスが崩れると様々な体調不良の原因となると言われています。
その中で「明暗の変化」は夜の時間を過ごす住まいの照明にはとても大切で深いかかわりがあります。

下の図のように太陽の光は、赤から白そして日没近くはろうそくの光に近い赤色となり西の空に沈んでいきます。人工の光がなかった頃、人は太陽の光とともに目覚め、太陽が沈めば寝るという生活をしていました。夜の光は焚火。いわゆるろうそくの光と同じ光の色です。この生活を基本として考えたときに、夜の部屋の照明を、昼間と同じように明るく白っぽい光の中で過ごしている現代の暮らしは、生体リズムを崩し体調不良を起こしやすいと言えます。実際に睡眠前に白っぽい光の部屋で過ごした時に、深い眠りの時間を短縮させ、睡眠の質を低下させたという事例や子供の寝つきが悪くなったという事例があります。子供を寝かしつけるときには出来るだけ赤みのある光の中で明るさを落とし過ごすと良いでしょう。1日の光の色と光に当たる時間、明るさを調整し生体リズムを整えることで体調不良を防ぎ、気持ち良い毎日を過ごすひとつのきっかけになると考えられます。

光の効果から読み解く照明コーディネート【基礎編】のまとめ

今回の光の効果から読み解く照明コーディネート【基礎編】では、照明の器具や種類、用途などを解説しましたが、次回の【応用編】では照明器具で美しい空間をつくる方法をご紹介いたします。

文中施工写真・資料提供:大光電機株式会社 [https://www.lighting-daiko.co.jp]

監修 インテリアコーディネーター・建築士 鈴木 珠未氏

福川建築 設計インテリア部門 Kors事業部

住宅会社でのインテリアコーディネート業務を経験後、静岡県浜松市を拠点とし、くらしのあかり(照明)を中心にしたインテリアコーディネートの提案を行う事務所を立ち上げる。長年住宅メーカー内でインテリアコーディネート立案をしていた経験を生かし地元の住宅会社や不動産会社をメインにひと部屋からプランの策定支援を行っている。また、大工部門を併せ持つ事業形態を生かし大工工事の請負や現場で必要な図面の作成、インテリア提案などのプロデュースも行っている。


福川建築[Kors事業部] https://l-kors.jp

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