暮らし

保護犬との幸せな暮らしのために

保護犬と幸せに暮らすために知ってほしいことをお伝えします。


※写真はイメージです

1.犬の「殺処分」ゼロを目指して

人間の儲けの為と身勝手や都合により犬の命を奪う「殺処分」

199931日にこの世に産まれたミニチュアダックスフントの「デュッカ」との出会いで、僕は救われました。しかし、人間の儲けの為と身勝手や都合により命を奪う「殺処分」ということを知ることになりました。
救われた僕にとっては何とかしたいと思い、「殺処分ゼロ」を目標に掲げ走り始めることになり22年になりました。
2000年頃は動物愛護センターに収容された内の95%が「殺処分」でした。僕も回りの人に殺処分ゼロにしたいと言うと「そんなのムリ」と言われることも少なくなかったが、ペットブームも発生し「殺処分」を意識する人達も徐々に増えていき、2005年に動物愛護法が改正され、徐々に「殺処分はやめよう」という流れが出てきました。
このあたりから、保護活動する団体も徐々に増えてきて、2007年には「殺処分率は89%」90%を切りました。各都道府県それぞれにボランティア保護団体も増えていき「殺処分ゼロ」を目標に掲げることが定着していきました。
しかし、キャパを超えて適正管理が出来なくなって保護団体が崩壊することもおきてしまい、殺処分機は無いが、粗悪な汚い環境、病気の子達の治療まで回らないこともありました。
この時のニュース等を見る度に、「命が救われるだけでは保護とは言えない。良い食べ物、快適な環境、痛みや辛さがない健康を取り戻してこそが、心身共に幸せを感じる保護」だと強く感じるようになりました。

2016年より名古屋市は犬の殺処分ゼロを達成


そして2013年に再び動物愛護法が改正され、自治体が引き取りを拒否できるようになり、同時期に引き取りの窓口も愛護センター一本になりました。なぜなら保健所は各地区に存在するが愛護センターは限られた場所のみにあるため、窓口を狭めることと、終生飼育の説得、指導を行い飼育拒否の抑止力を高めるためです。
業者からの引き取りも拒否できるようになり「引き取り屋」という存在も現れ、次から次へと出てくる悲しいニュースに頭をかかえました。

名古屋市は、2010年に保護団体が愛護センターから保護し新たな家族を見つけるという「譲渡ボランティア制度」を立ち上げました。ボランティア団体も徐々に増えて現在30前後の団体が登録し活動しています。その結果2016年、名古屋市での犬の殺処分ゼロを達成し8年間犬の殺処分はおきていません。

2.ご自身の目と心で保護団体を見極めてほしい

動物愛護団体は主に2種類に分けられる

動物愛護団体は主に2種類に分けられます。
一つには「動物愛護の啓発」セミナーや講演、保護団体への支援などの啓発を行う。
もう一つに「保護団体」があり、動物の保護、里親への譲渡、終生飼養など、愛護センターや飼い主から保護し譲渡する以外にも、終生まで愛情もってケアを行う。
ちなみに「ドッグデュッカ」はそのどちらも行っています。

では、保護の流れの仕組みはというと、愛護センターに収容される理由として6割は迷子(捕獲)です。残る4割は飼い主の持ち込み、保護したけど世話できないという持ち込みです。
迷子なら必ず飼い主が見つかりそうなものだが、その内の3割の子達は飼い主が現れません。捨てた?放置した?と思ってしまいます。
各都道府県により、規則や決まりは多少違いますが、収容された子達は「審査」というものがあり、「里親譲渡可能」と「譲渡に向かない」という、何ともやりきれない仕組みがあったりします。(名古屋市も以前はそうでした)
審査というものに漏れた子達は(高齢、病気、噛みつきなど)「殺処分」なのです。
従って各都道府県で愛護団体が活発に活動している所は「殺処分ゼロ」を達成できたりもしています。とはいえ、飼育拒否が減っているという印象はあまり持てないのが現状です。

保護犬がいなくならない理由の中に、動物愛護法が改正され、自治体が「殺処分ゼロ」を目標とするようになり、愛護センターは、飼い主やペットショップやブリーダーからの引き取りを断るようになりました。
その結果、皮肉なことに、保護団体の所に保護犬がやってきたり、引き取り業者に処分させる業者があったり、繁殖犬などが保護団体に流れてくるようになりました。2010年の動物愛護法の改正からは、ブリーダーの崩壊や廃棄も増え始め、動物愛護の認識も少しずつよい方向に進め始めたように感じていました。

しかし、その矢先に訪れた「コロナ感染症」。世界中に猛威をふるい、今だに消息していません。

コロナ禍の「ペットブーム」により飼育放棄相次ぐ

この「コロナ感染症」により在宅ワークや自宅待機、外出制限と自宅に居なくてはならない時間が増えることで、癒しを求めてという、安易に犬や猫を買い求める人が急増してしまいました。これにより、廃業をする予定の儲け主義の業者が、また息を吹き替えしてしまい、販売価格も高騰。3倍にも4倍にも、はね上がったのです。

需要と供給とはいえ、ちょっとしたペットブームには驚かされました。そして、当然のように、安易に買い求めた人達の無責任な飼育拒否が発生しているのです。

「こんなに大変だとは思わなかった」
「トイレが出来ない、あま噛みする」等

えっ!と驚くような理由も多々発生しているのです。各都道府県の環境や状況により違いがありますが、名古屋市には野犬と言われる犬はほとんどいないのです。名古屋市にあるドッグデュッカで保護案件の内訳は、飼い主の入院・入所・死亡が30%、吠える・噛む・破壊等が27%、転居・離婚・結婚が21%、家族に犬アレルギーが8%、虐待が5%、多頭飼育崩壊が5%です。

きちんとした活動をしている保護団体を見極めてほしい


保護団体で保護する子達の中には「高齢、病気治療の必要な子達」も多くいます。仔犬から飼い始めるのではなく、ボランティアとして里親に行きにくい子達を助けながら共に支え合う方法もあります。飼育経験や病気治療経験があれば、さらに安心して我々も助けてもらうお手伝いをお願いしやすくもなります。
その他に里親として犬を迎えたいと思った時に、どこの団体が信用できるのか?
何をどうしたらよいのか迷ってしまう方も多いようです。

ここ5年くらい前から「保護ビジネス?」と思うような団体なども増えてきました。皆さんの意識が変わり、お金が動くようになると必ず「儲け」を考える人が出るのですね。10年間以上前なら「保護犬はタダが当たり前」で、注射や避妊、去勢手術の治療費すらも里親さんに請求はしにくいものでした。しかし、今は寄付で支援したい。物販で支援したいと「殺処分」「動物愛護」にできることを協力したいという方が増えてきました。しかし、その善意と愛情を利用するかのような「保護ビジネス」が現れているのです。

では、「里親になるためにはどうしたらいいの?」「とこから?」という選択肢が出てくると思いますが、「殺処分の可能性のある」各都道府県の動物愛護センターに問い合わせてください。
また、愛護センターが譲渡している動物保護団体や個人ボランティアさん。直接行くのか?譲渡会に参加するのか?問い合わせたり、ホームページを見たりするとよいです。保護団体はボランティアで、中には個人の預かりボランティアさんが自宅で世話をしているので、その子の性格や個性も理解しています。

3.犬を飼うなら、犬の気持ちになって選ぶことが大切


人が犬を選ぶのではなく、犬が家族を選ぶように、この子にとってどういう家族が良いのか?を犬の気持ちになって選ぶことが必要です。
最近は譲渡サイトも多くなり利用者さんも増えていますが、本当によくあることが、保護犬と里親さんのミスマッチが本当に多いのです。
見た目や犬種、年齢だけで選ばず、どんな性格の子で、どんな風に暮らしをさせたらいいのかなど、家族の方達の生活ライフも考えてお互いが幸せな生活を得るようにしてもらいたいと願います。様々なことも相談でき、直接会って話しができる所にしてください。
時々、「保護団体は譲渡とルールが厳しい」と聞くことがありますが、保護団体はペットショップと違って商売ではなくボランティアです。やっと救った「生命」を二度と不幸にしたくないのです。
家族構成やペットがオッケーの住まいか、家族全員が承諾しているか等はもちろん、保護犬は様々な不安や怖い思いをしたことも多く、飼育経験が求められる子達もいますし、トライアル期間をもうけお互いが相性よく生活ができるかも確認したいのです。
保護犬は必ずしも「飼いやすい子達」ばかりではありません。元野犬の子や、その子供など、人に不安をもっている子達もいます。なので「二度と不幸にならない家族選び」の為のルールということをご理解いただきたいと思います。
一部の良くない保護団体には、くれぐれも気をつけてください。
日本が、「真の動物愛護」「動物愛護先進国」だと言われるまでには、まだまだ問題が山積みですが、一つでも多くの生命が「幸せだよ」と言ってもらえるように努めていきたいです。

※文中写真はすべてイメージになります。

監修 DOG DUCA代表 高橋 忍氏

特定非営利活動法人DOG DUCA(ドッグ デュッカ)

特定非営利活動法人DOG DUCAの代表であり、わんわん保育園DUCAのドッグトレーナーとして、1000頭以上の犬の保護、譲渡、終生供養をしてきました。殺処分寸前の犬たちの保護活動を精力的に行っています。

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