家づくり

2階をリビングにすると、どんなメリットとデメリットがある?

2階リビングの家に憧れるけれど、「暮らし心地はどう?」「子育てはしやすい?」「老後の生活に支障はない?」など、少し心配があるという方も多いでしょう。そこで今回は、2階リビングのメリット・デメリットを紹介するとともに、デメリットを克服する間取りの工夫についてもご紹介していきます。

1.2階リビングとは?そのメリットとデメリット

2階リビングとは具体的にどのようなものなのでしょうか。そのメリット・デメリットについて解説します。

2階リビングってなに?

文字通り、リビングルームを2階に配置するのが「2階リビング」です。
一戸建て住宅のリビングといえば1階にあるものと思っている方も多いかもしれませんが、2階リビングの家も決して少なくはありません。メリットも多くある2階リビングですが、その一方でデメリットも存在するため、採用する際には十分な検討が必要です。

2階リビングのメリット

2階リビングの最大の特徴は、開放感があることでしょう。特に住宅密集地に建つ家の場合、1階は日陰になりがちだったり風通しもあまりよくないことがありますが、2階は採光も通風も恵まれやすく快適に過ごせるケースが多いです。高さがあるので眺望のよさを楽しめるのも魅力です。
加えて、家の中の様子が外から見えにくくプライバシーを確保しやすいことも大きな利点です。1階は道路が近くなるため、昼間でもリビングではレースのカーテンを引いたまま…というご家庭も多いのではないでしょうか。その点、2階なら道路からは見えにくくなりますので、窓を開けて光や風をたくさん取り入れることもできます。
また、他の家では1階にリビングがあることが多いため、お互いに生活音が伝わりにくい特徴もあります。よそからの騒音に悩まされず、自分の家の音を聞かれる心配も少なく安心感があるでしょう。



2階リビングは家事の動線が楽になることもあります。洗濯物は2階のバルコニーに干すご家庭も多いと思いますが、2階リビングの家では水回りも2階に設置することが多く、階段を上らずにバルコニーへ行けるのでスムーズです。リビングで過ごしていて、急に雨が降ってきた際にも、バルコニーの洗濯物をサッと取り込めますね。
家屋の構造的にも2階リビングにはメリットがあります。家には地震や強風による揺れに耐えられる強度を確保するため「耐力壁」という壁の設置が必要です。これを、リビングが1階にある場合と2階にある場合で比べてみると、リビングはスペースを大きく取るものなので、1階にあると耐力壁が取りにくくなります。
2階にある場合は、1階を部屋で細かく仕切ることになるので、耐力壁を多く設置することができ、強度を高められるのです。
さらに、2階リビングの場合1階と比べて天井高を高く取れることもポイントです。1階の場合は天井高に制限がかかることもありますが、2階建ての2階であれば、天井をできるだけ屋根に近づけることで高さを取ることができるのです。これにより、より開放的な雰囲気を演出できますし、ロフトを設置することも可能になります。

2階リビングのデメリット

2階リビングの一番のデメリットは、やはり、階段を上り下りしなくてはならないこと。リビングが2階にあればキッチンも2階に設置することがほとんどなので、買い物から帰ってきたら荷物を抱えて2階に上がらなくてはなりません。これがほぼ毎日のこととなれば負担に感じる方もいるでしょうし、荷物が多いときなどは特に大変です。普段はよくても疲れているときは特に負担を感じることもあるでしょう。
また、来客があったときにはいちいち階段を下りていかなくてはならないので、これも面倒な点ですね。
もう一つのデメリットとしては、夏場に暑くなりやすいことが挙げられます。2階リビングのメリットとして日当たりがよいことをご紹介しましたが、これが部屋を暑くする一つの要因となります。
屋根が近いため屋根からの熱も伝わってきますし、そもそも空気は温まると上に上る性質があるため1階に比べて2階は暑くなりやすいのです。小さいお子さんや高齢者、ペットを飼っているご家庭では熱中症にも十分な注意が必要ですし、常温保存の食品が傷まないよう配慮も必要です。

子育て世帯の場合、子どもとのコミュニケーションが取りにくくなるという点も気になるかもしれません。リビングが2階にあると、子ども部屋は1階に置くことが多くなります。リビングが1階にあれば、2階の自室へ向かう際にはどうしても1階を通らなくてはなりませんが、2階リビングではリビングを通らなくても子そも部屋に行けます。すると、子どもは帰宅してすぐ自室に入り2階のリビングには行かない…ということも起こり得るのです。

もう一つ心配なのが、冷蔵庫などの大型家電の搬入です。2階に入れるとなると階段を通る必要があります。家電のサイズによっては階段を通ることができない場合もあるため、クレーンで2階のバルコニーから搬入するなど、他の搬入経路を確保する必要が生じます。

2.2階リビングにする際のポイント

メリットの多い2階リビングですが、デメリットもあることがわかりました。では、そのデメリットを最小限にするためにはどのような工夫をすればよいのでしょうか。そのポイントを解説します。

間取りを工夫しましょう

2階リビングでは階段の上り下りは避けられませんが、玄関からできるだけ近いところに階段の上り口を設け、上り切ったらすぐキッチンに出られるような間取りで設計すると、動線を短くすることができます。
暑さ対策では、家全体の断熱性能を高めることが有効です。断熱材の量を増やし、特に熱が入りやすい屋根の断熱はしっかりと行いましょう。窓からの熱は、複層ガラスや樹脂サッシを用いることである程度軽減することができます。また、天井にシーリングファンを設置すると室内の空気をかき混ぜることができ、エアコンの冷たい空気が行きわたりやすくなるのでおすすめです。
家族のコミュニケーションについてですが、子ども部屋は2階に設けて必ずリビングを通る動線にするか、あるいはリビングの一角に引き戸で区切られた空間をつくって子ども部屋として使うのも一つの方法です。引き戸を開ければリビングと繋がった空間になり、リビングと子ども部屋を一体化した空間として利用することができます。子どもが小さいうちはこのようなスタイルにして、大きくなったら1階の個室を与えるというのも良いかもしれません。
大型家電の搬入を容易にするには、階段はできるだけ幅を広く取り、段差も少なくした直線階段を設置してはいかがでしょうか。段差が少なく勾配の緩い階段は、上り下りが楽になるというメリットもあります。

老後など将来を見据えた設計にするべし

長く住むことを考えたとき、2階リビングの場合、老後に階段の上り下りが負担になるのではと心配される方も多いでしょう。階段の勾配を緩やかにしておく、手すりを設置しておくといったことも大切ですが、ホームエレベーターの設置を考えてもよいかもしれません。若いうちはエレベーターは必要ないというのであれば、設置できる場所だけ確保しておいて、設置するまでは収納スペースとして活用するのも方法です。

バルコニーは広めに

1階リビングの場合は庭が開放感を演出します。2階リビングでは、代わりに広いバルコニーを設置できると良いでしょう。リビングの床と高さを合わせれば、窓を開けた際に空間としての繋がりができ、より広々と感じられます。テーブルやチェアを置いてセカンドリビングとして活用するのもよいでしょう。
工夫次第で子育てしやすく老後も安心!魅力いっぱいの2階リビングを検討してみよう。
明るく開放的でありながら、プライバシーもしっかり確保できるのが2階リビングの魅力です。気になるデメリットもありますが、間取りや設備面で工夫をすれば対応可能で、子育てしやすく老後も暮らしやすい家にすることができます。これから家を建てようと考えていらっしゃる方は、ご自身やご家族のライフスタイルを考え、選択肢の一つに加えてみてはいかがでしょうか。

 

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監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

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