暮らし

“住んでから気づいた”を防ぐ!家具配置まで考える間取り設計のコツ

注文住宅で間取りを考える際、「部屋の広さ」や「収納の量」にこだわる人は多くいます。
しかし、意外と見落とされがちなのが「家具をどこに置くか」というポイントです。
せっかく理想の家を建てても、「ソファが思ったより大きくて通りづらい・・・」「ダイニングテーブルが窮屈で置きづらい・・・」など、住んでから気づいて後悔するケースは少なくありません。
間取り設計の段階で大まかな家具の配置まで想定していれば、入居前に最適な間取り計画や家具選びが可能になります。
今回は、家具配置まで考えた間取り設計のコツと注意点を、わかりやすくご紹介します。

家具配置まで考える間取り設計4つのコツ

家具の配置をイメージしながら間取りを考えることで、暮らしやすさや理想の家づくりが格段に向上します。後悔を防ぐために、事前にシミュレーションしておきたい4つのポイントを挙げてみます。

1.部屋の採寸

部屋の正確な採寸は、家具のサイズ感や配置、生活動線のイメージすべてに関わってきます。設計図上の数値だけでなく、窓やドアの位置・開閉方向、コンセントの位置までしっかり確認することが大切です。例えば、クローゼットの扉が内開きの場合、扉を開けた際のスペースを確保する必要があります。また、窓際にベッドを置く場合は、カーテンレールの出っ張りやエアコンの位置も想定しておかなければいけません。平面図だけでなく立体的なイメージを持つことで、採寸すべき場所が見つけやすくなり、「家具が置けない」「思ったより圧迫感がある」といった失敗を減らせます。

2.家具の採寸

使用予定、または購入予定の家具が決まっている場合は、実際のサイズを測っておきましょう。特にソファ、ダイニングテーブル、ベッド、テレビボードなどの大型家具は、間取り計画に大きく関わります。採寸は、幅や奥行きだけでなく、高さも忘れずに。平面図だけを見ていると高さの採寸を忘れがちなので気を付けましょう。背の高い収納棚は場所を選びますが、低めの家具であれば圧迫感が少なく、配置の自由度も高くなります。

3.家具の配置

部屋と家具の採寸ができたら、次はそれをどこに配置するかを検討しましょう。このとき、単にサイズが収まるかどうかだけでなく、空間全体の雰囲気や使い勝手もイメージしながらシミュレーションすることが大切です。例えばリビングでは、テレビの配置やソファの向きを決める際に、窓の位置や自然光の入り方も考慮しましょう。窓からは光や風を取り入れたいので、背の高い家具を近くに置くのはできるだけ避けると安心です。間取り設計の段階や家具購入前に配置をイメージしておくことで、住んでから「想像していた雰囲気と違う」という失敗を防げます。さらに、家具の色合いも空間の印象を左右する重要なポイントです。濃い色や暗い色の家具は圧迫感を与えやすいため、配置だけでなくカラーバランスも意識して検討しましょう。

4.生活動線のイメージ

家具の配置が決まったら、実際の生活動線をシミュレーションしてみましょう。家具を置く場所によって、朝の支度や家事のしやすさが大きく変わります。例えば、キッチンからダイニングまでスムーズに配膳できるか、洗濯動線が短縮できるか、リビングを通らずにトイレや寝室に行けるかといった点を具体的に想像してみます。通路幅の目安は6090cm程度ですが、家族構成やライフスタイルによっても最適な幅は異なります。小さい子どもや高齢の家族がいる場合は、安全にすれ違えるゆとりを持たせると安心です。家具が生活の邪魔になってしまうと、暮らしの中で小さなストレスが積み重なっていきます。毎日の暮らしを丁寧にイメージしながら、家族全員が心地よく動ける間取りを実現させましょう。

部屋を広く見せる家具配置3つのコツ

家具の置き方を工夫するだけで、部屋の広さの印象は大きく変わります。限られた空間でも開放感を演出するためのポイントを3つ紹介します。

1.大型家具は壁際に

大きな家具を部屋の中央に置くと、家具の存在感が大きく、空間全体が狭く感じられることがあります。大型家具はできるだけ壁際に寄せて配置することで、視覚的に壁と一体化して見えやすくなります。壁際に寄せて中央部分にゆとりを確保すると、見た目にも広々とした印象になります。テレビボードや収納棚などの家具は壁に沿わせて設置することで、生活動線の確保と開放感の両方が可能です。さらに、背の高い家具はなるべく部屋の奥側に配置すると視界が抜けやすく、奥行き感が生まれるため、空間をより広く見せる効果があります。

2.視線を角に

人は自然と「抜け感」のある方向に視線を向けます。そのため、視線が部屋の角へ抜けるように家具を配置することがポイントです。例えば、ソファは部屋の中央に置くよりも、壁面や角に寄せて配置することで空間に奥行きが生まれます。観葉植物や間接照明などのアクセントとなるアイテムを部屋の角に置くのも効果的です。また、視線が窓の外へ抜けるように配置を工夫すると、実際の面積以上に広さを感じやすくなります。家具の配置によって視線を誘導することは、空間づくりにおけるとても有効なテクニックです。

3.テレビとソファの位置関係

リビングの印象を大きく左右するのが、テレビとソファの配置です。この2つはリビングの主役的存在であり、バランスが崩れると生活のしづらさにつながります。テレビは窓の正面に置くと反射で見づらくなることがあるため、窓の横に配置するのが理想です。ソファは壁にピッタリくっつけず少し距離を取ることで立体感や通気性を確保しやすくなります。

住んでから後悔しないための注意点

どんなに理想の間取りでも、「家具を置いてみたらイメージと違った・・・」ということはよくあります。完璧な間取り設計は難しいものですが、後悔を少しでも減らすために意識しておきたいポイントを押さえておきましょう。

家具の詰め込みすぎはNG

お気に入りの家具をたくさん置きたい気持ちがあっても、詰め込みすぎると暮らしにくさの原因になります。生活動線がスムーズでなくなるだけでなく、空気の流れも悪化します。物が多いほど掃除の手間も増え、無意識のうちに家事の負担を増やしているケースも少なくありません。リビングや寝室は「必要最低限+α(少しの余裕)」を意識し、空間に余白を残すことが大切です。余白が「物足りない」のではなく、余白があることで「スッキリとした心地よさ」につながることを覚えておきましょう。

家具のサイズは部屋のサイズに合わせる

家具のサイズは部屋のサイズに合わせるのが基本です。インテリアショップや展示場で見るのと、実際に自宅に置いてみるのとでは違うことはよくある失敗例です。家具選びの際は、部屋の形や天井の高さ、色のバランスなども踏まえ、空間全体に合ったボリューム感を意識しましょう。

監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

他の記事を読む