家づくり

将来の売却も視野に!“資産価値が落ちにくい家”の共通点とは?

住宅は住むだけのものではなく、「将来の資産」として考える傾向が強まっています。
資産性の高い住宅であれば、将来的に売却もしやすくなり、より良い住まいへの住み替えという選択肢も広がります。
「資産価値が落ちにくい家を選ぶにはどうしたらいいの?」「10年後の資産価値が不安・・・」とお思いの方も多いでしょう。
実は、家を建てた時点で将来の資産性がある程度決まってしまうのです。
今回は、“資産価値が落ちにくい家”の共通点についてご紹介します。

資産価値の判断は不動産市場の動向を知ることが大切

自分の資産価値に関心を持つと同時に、不動産市場の動きについて知ることが欠かせません。住宅を購入するタイミングにも関わる大切なポイントのため、最低限の知識と興味を持っておくことが重要です。

不動産市場の状況

「新築住宅の平均価格が上昇している」というニュースを耳にしたことがあると思います。上昇率は地域によって異なりますが、新築価格が上がると中古住宅の相場にも影響することがあります。価格上昇の背景には、人件費や資材費、運送費、地価の高騰など、さまざまな要因が挙げられます。中古住宅の場合、当時の建設コストではなく、新築住宅の価格動向や、需要と供給のバランスが価格に大きく影響します。ただし、ニュースで取り上げられる「新築住宅の価格上昇」は、主に都心部の状況であり、自身の居住エリアも同様に上昇するとは限りません。不動産市場全体の情報に加えて、購入を検討しているエリアに合った情報を集めることで、より正確な動向を把握できます。

住宅ローン金利の動向

住宅購入に大きな影響を及ぼすのが「住宅ローン金利」です。過去と比べれば依然として低金利の水準ですが、今後は上昇する可能性も懸念されています。では、住宅ローン金利が上がるとどうなるのでしょうか?住宅ローン金利が上昇すると、返済の負担が大きくなります。そのため、住宅の購買意欲が下がり、需要そのものが低下する可能性もあります。住宅ローン金利の動きは、自分の返済だけでなく売却時の市場にも影響してくるため、よく注視しておくことが大切です。

“資産価値が落ちにくい家”の共通点

「どんな家なら資産価値が落ちにくいの?」という疑問に対して、資産性の高い住宅にはいくつかの共通点があります。これらを知ることで、住宅購入時の条件を絞りやすくなるでしょう。

地価が下がりにくく安定している土地を選ぶ

住宅の資産価値の大半を占めるのは「土地」です。どれだけ設備が充実し、デザイン性の高い住宅であっても、土地の条件によって資産価値の大部分が決まってしまいます。土地には価格の指標として「地価」があり、下がりにくい、もしくは上昇の可能性がある土地を選ぶことが重要です。ただし、将来の地価がどう変動するかは誰にもわかりません。過去の地価推移を参考にするのも一つの方法です。

土地形状と災害リスクの低さ

土地選びは、エリアだけでなく「土地の形状」も重視しましょう。一般的に住宅が建てやすいのは四角形の土地であり、三角形など特殊な形状は価格が低くなる傾向があります。また、細い道路の奥に位置する旗竿地なども立地条件として好まれないことが多いため、資産価値の面で不利になる可能性があります。加えて、日本では地震や水害などの災害リスク確認は不可欠です。ハザードマップを活用し、災害による損失を避けることも資産価値維持のポイントです。

耐久性の高い構造

木造住宅の法定耐用年数は22年ですが、実際には建設技術の向上もあり、一般的な木造住宅でも65年程度快適に暮らせる水準となっています。また、国土交通省が認定する「長期優良住宅」であれば、期待耐用年数は100年を超えます。耐震性能や省エネ性能、劣化対策などの基準を満たしているため、資産価値の維持にも大きく寄与します。高気密・高断熱・高耐震の住宅は、暮らしの快適性や安全性に加え、光熱費削減や住宅ローンでの優遇措置を受けられる可能性もあります。

メンテナンスと清潔感

耐久性を高めるには、定期的なメンテナンスが欠かせません。早めに対処することで劣化による損傷を防ぎ、費用負担も抑えられます。築年数が経過していても、きちんと手入れされた住宅は古さを感じにくく、清潔感がある住まいは売却時に良い印象を与えます。日頃から清掃やメンテナンスを意識しましょう。

シンプルな間取り・デザイン

「マイホームだからこだわりを詰め込もう!」という考えはよくあります。ただし、将来の売却を視野に入れる場合は、こだわりの強さには注意が必要です。特に気を付けたいのは間取りとデザイン。例えば、とても広いLDKや趣味のために設けた大きなシアタールームなどは魅力的ですが、実際の暮らしをイメージすると、シンプルで定番の間取りのほうが購入層を広げやすくなります。変わった間取りの場合、購入者はリフォームを検討する必要があり、費用が加算されるため売却時のマイナスポイントになりやすいです。内装についても、個性的すぎる色やデザインは購入者を狭めてしまう可能性があります。シンプルで汎用性のあるものが望ましいでしょう。

売却を視野に入れた一戸建て住宅の注意点

将来的に売却を考えている場合は、計画性を持っておくことが大切です。住宅を購入した時点で意識しておくべきポイントもあるため注意しておきましょう。

築20年以内の売却

前述の通り、メンテナンスが行き届いた木造住宅は65年程度快適に暮らせるとされていますが、購入希望者の多くは法定耐用年数である22年を意識しています。「建物の価値がなくなる」という情報が強く印象に残っている人も多いため、資産価値を保ちつつ売却しやすい目安として、築20年以内の売却がおすすめです。

住み替え予算の計画

住宅購入前には「売却なんてまだ先」と感じるかもしれませんが、将来住み替える可能性がある場合は、20年後を見据えた資金計画もシミュレーションしておきましょう。売却益が出るとは限らず、その後に新たな住まいを購入する際には、購入費用や年齢に応じた住宅ローンも想定する必要があります。将来のライフイベントや住宅ローン返済に加え、住み替え資金も含めて総合的に計画しておくと安心です。

監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

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