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子育てしやすい自治体ランキングをご紹介!(東海エリア版)

物価の上昇と実質的な収入の停滞が続く中、子育て世帯の家計には大きな負担がのしかかっています。
そのため、住まいを選ぶ際に「子どもを安心して育てられるかどうか」は、子育て世帯にとって重要なチェックポイントです。
特に、子育て支援制度は各自治体によって異なるので、地域選びが子育てのしやすさに直結すると言えるでしょう。
近年は、保育園の待機児童対策や子育て世帯への助成金、教育環境の充実など、子育て支援に力を入れている自治体も多く、その特徴は地域によってさまざま。
そこで今回は、東海エリアの中でも特に子育てがしやすい自治体をランキング形式でご紹介します。
新しい住まいを検討しているご家庭や、子育てに適した地域をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。

子育てがしやすい自治体はどこ?【東海エリア編】

子育て支援が充実している地域は、子育て世帯に人気が高いため定住率も高く、生活インフラや教育・医療環境が整っている傾向があります。東海エリアに絞った「子育てしやすい自治体ランキング」は以下の通りです。

1位:静岡県静岡市

2位:愛知県豊田市

3位:愛知県豊橋市

いずれも全国的に見ても上位にランクインするこの3地域は、手厚い支援体制が整い、高い人気を集めています。では、子育てがしやすい地域とは、どのような環境・制度を備えているのでしょうか?教育環境、行政サービス、医療・福祉、出産・産後ケアなど、多角的かつ長期的な視点で子どものライフステージに合わせた支援を見ていきましょう。

第1位:静岡県静岡市

静岡県の中核都市である「静岡市」。市は「日本一安心して子どもを産み、育てやすいまち」を目指すというスローガンを掲げており、自治体全体で子育て支援に力を入れているのがわかります。主な子育てサポートは、大まかに以下の3つに分けられています。

1.     結婚・出産支援(これから結婚や出産を希望する人への環境づくり)

2.     子育て支援(安心して楽しく子育てができる環境づくり)

3.     子育ち支援(子どもが成長するライフステージに合わせた支援)

市民のニーズを反映しながら、新しい施策や環境づくりが行われているのが特徴です。実際に静岡市が取り組んでいる支援について項目ごとに解説します。

結婚支援

静岡市では出会いの場を提供するために、「しずおかエンジェルプロジェクト」としてイベントを開催し、結婚を希望する人たちの背中を後押ししています。また、これから結婚生活を始める人に「結婚新生活スマイル補助金」として、最大80万円の補助金を交付し、6ヶ月分の家賃や共益費、住宅購入費に充てられる費用を支援しています。その他、住み替えによる住宅改修補助などの嬉しい支援も展開しています。

出産&産後ケア

現在の不妊治療は、国の助成制度はなく、先進医療は保険対象外となり自己負担が重くなっています。静岡市では、県と連携して妊娠率を上げる先進医療の一部助成を実施。不妊治療に対する助成制度があるほか、妊娠期から子育て期まで継続して相談できる「訪問支援」も充実しています。また、助産師や保育士などの専門職による支援体制が整っており、精神的ケアにも注力。不安を軽減し、安心して妊娠・出産・子育てができる環境が、行政サービスとして用意されています。

子育て支援

静岡市の子育て支援は手厚いものが多く、ランキング1位になるものが多くあります。経済支援から生活環境整備まで、子育てを支えてくれる幅広い環境づくりが整っています。具体的には、以下のような施策があります。

・保険料の負担軽減(第2子以降の保育料無償化など)

・発達が気になる子への支援(1歳半以降から発達が気になる子への超早期発達支援)

・子どもが遊べる場所の整備

・放課後児童クラブの土曜日開放拡充

第2位:愛知県豊田市

愛知県の中央部に位置する「豊田市」。名古屋市に次ぐ人口の多さで「クルマのまち」として知られる豊田市は、人口規模が大きく、都市インフラも整っています。子育て支援は、妊娠期から高校・大学にかけてまで長期的な視野で、しかも、段階的に子育て支援が行われていることが特徴です。

1.     妊娠時期

2.     出産時期

3.     保育時期

4.     教育時期

妊娠時期

新しい生活と共に何かと支出が多い新婚世帯向けに、住居費や引っ越し費用の一部を支援してくれる「結婚新生活支援補助金」や「不妊治療費補助金」を実施。新生活のスタートに対する補助は、妊娠・出産への後押しにもなっていることでしょう。また、妊娠期には、専門家への相談やヘルパー派遣などのサービスも利用できます。

出産時期

出産後は育児の不安や疲労が増しやすいもの。特に初めての出産の場合はそれが大きいでしょう。豊田市では、出産後のケアとして、24時間365日対応の急病・子育てコールサービスを実施。家庭での保育が困難になったとき、気持ちのリフレッシュが必要なときに利用できる、一時保育や宿泊支援も。家庭内だけに頼らない育児ができるでしょう。

保育時期

特に豊田市が力を入れているのが「保育料」。保育料の軽減策で、第2子・3子は無償を実現しています。また、日曜・祝日対応の休日保育や、子どもの病気やケガによる一時預かりも対応可能。こども園に通う35歳児の給食費が無料になるなど、経済的負担と育児的負担をカバーしています。

教育時期

小学校~中学校にかけても、手厚い子育て支援が進んでいます。小中学校の給食費無償化に加え、放課後児童クラブの充実、タブレットを活用したICT教育など学習環境の整備にも力を入れています。医療費支援も、高校生までは入院費が無料、大学生の入院費も助成対象。条件を満たすと奨学金の返還不要となる場合もあるため、長期に渡って子育てしやすい環境が魅力です。

第3位:愛知県豊橋市

愛知県の渥美半島に位置する「豊橋市」。温暖な気候と自然環境に恵まれた地域で、農業が盛ん。県庁機能を一部有している地域でもあります。子育て支援も、経済・保育・家庭支援の3つの軸で、幅広い支援が充実しています。

1.    経済的な支援

2.    子育て・保育環境の整備

3.    育てる親のサポート

経済的な支援

02歳児の保育料は、年収360万円未満相当の世帯を対象に無償化を実施し、待機児童ゼロを維持しています。35歳児については、所得制限なくすべての世帯が無償で利用できます。副食費軽減や預かり保育も積極的に行っており、経済的な支援は大きなものがあります。また、市営住宅への優先入居などもあり、住宅費を抑えつつ安心して暮らせる住宅支援も嬉しいポイントです。

子育て・保育環境の整備

1歳未満の乳児がいる全世帯で、家事代行サービスが500円で可能。産後ケアとして、心身のケアや育児相談が手軽にできる環境づくりもなされています。また、公立小学校では全国初のイマージョン教育を導入。普段の授業を英語で受けることで、世界的な視野や英語での日常的なふれあいができるため、グローバルな視点を育むことができるでしょう。

子育てする親のサポート

共働きが多い現代に嬉しい、働きながら育児がしやすいサポートも。豊橋市では、子どもの預かり体制が充実しており、以下のサービスが実施されています。

・とよはしファミリー・サポート・センター

・子育て支援ショートステイ・トワイライトステイ

・放課後子ども教室

急な用事や体調不良など、一時的に子どもを見られない際も頼れる環境があります。いざという時もサポートしてくれる子育て支援体制も、豊橋市を上位に押し上げる理由となっているようです。

監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

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