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ガレージハウスの魅力と注意点

車やバイクが好きな人の中には、「ガレージハウス」に憧れを持っている人もいらっしゃるでしょう。
ガレージハウスとは、住まいの一部にガレージ(車庫)を組み込んだ住宅のことです。
一般的には駐車場のイメージが強いガレージですが、実際は多目的に使える空間であり、自分の“好き”を詰め込める場所でもあります。
魅力的なガレージハウスを実現するには、メリット・デメリットを正しく知ることが大切です。
今回は、ガレージハウスの魅力的なポイントや注意点をご紹介します。

ガレージハウスの魅力的な5つのポイント

いま注目が集まる「ガレージハウス」。車好きの方はもちろん、最近ではライフスタイル重視の方にも支持されているようです。オシャレで機能的な印象があるものの、実際のメリットはどんな点にあるのでしょうか。今回は、ガレージハウスの魅力を5つのポイントに絞って解説します。

車やバイクを鑑賞できる

「愛車を眺めていたい」---そんな想いを叶えられるのがガレージハウスの大きな魅力のひとつ。居住スペースからガレージをガラス越しに眺められる設計にすれば、まるで“愛車を展示するギャラリー”のような空間に。愛車を眺めながらお酒を飲んだり、くつろいだりと、贅沢な時間の過ごし方も夢ではありません。

車やバイクを大切に保管できる

屋外の駐車場に車やバイクを停めていると、事故やイタズラ、さらには盗難リスクもゼロではありません。加えて、台風やゲリラ豪雨、ヒョウなど天候リスクもあります。屋内ガレージであれば、雨や砂埃、紫外線などから車を守ることができ、塗装や劣化の防止にも効果的。愛車を長く美しく維持することが可能になります。

介護や子育てで利用しやすい

ガレージハウスは、居住スペースから直接車にアクセルできる構造が基本。そのため、高齢者や小さな子どもがいるご家庭では、乗り降りがしやすく、雨の日でも濡れずに移動できるメリットがあります。荷物の積み下ろしもスムーズに行えるため、介護や子育て世帯にとってはとても実用的と言えるでしょう。

趣味のスペース

ガレージは駐車目的以外にも、「趣味のスペース」として活躍します。アウトドア用品や自転車、キャンプグッズ、工具など、大きな荷物を収納したり、整備・DIYの作業スペースにしたりと用途はさまざま。趣味のモノを部屋にしまえず外に出しっ放し…という人もいるかもしれませんが、子どもが使った外遊びのおもちゃや、汚れたスポーツ用品も気兼ねなく収納できるので、室内に持ち込まずに済みます。

ガレージハウスをつくるときの注意点

使いやすく快適なガレージハウスをつくるために、設計段階から気をつけたいポイントがあります。以下の点を押さえて対策ができると良いでしょう。

居住スペースとのバランスを考える

ガレージの広さを優先し過ぎると、居住スペースが狭くなり日常生活に支障が出てしまう可能性があります。あくまでも暮らしの中心は居住スペースなので、ガレージとのバランスを意識した設計が必要です。ガレージを収納場所として使う予定がある場合は、何を置くかイメージしたうえで計画しましょう。

掃除がしやすいつくり

車やバイクをはじめいろいろな物を出し入れするガレージは、砂埃やゴミが発生しやすい場所です。そのため、掃除のしやすさを意識するとより快適な場所として使えます。水洗いできるようにしておくと、砂埃もサーッと水で洗い流せるのでおすすめです。排水溝の設置も忘れず行いましょう。排水ができないと水がたまりやすく、湿気やカビの原因になってしまいます。床はどうしても汚れやすいので、耐久性があり、汚れが落ちやすい床材を選ぶと快適です。

居住スペースとの動線

室内から直接アクセスできるという利点を最大限活かすには、動線の工夫が必要です。荷物を運ぶことが多いキッチンや玄関へのアクセスは、なるべく直線で短く設計すると利便性が高まります。また、段差をなくすことで安全性も向上します。

騒音や換気の対策

ガレージが屋内にあることで、エンジン音が室内に響きやすくなる場合があります。特に夜間や早朝に車を使うライフスタイルの場合は、防音対策が必要です。遮音性のある壁材やドア、吸音パネルなど、防音素材の活用を検討しましょう。また、エンジンをかけた際に発生する排気ガスの換気も必須です。換気扇を設置することで、健康リスクや臭いの拡散を防げます。

将来的な車のサイズも想定

今乗っている車に合わせたガレージをつくると、将来の車の買い替え時にサイズが合わないケースがあります。また、台数を増やしたいときに置けなくなってしまうことも。人の乗り降りや荷物の出し入れなどを考え、将来も見据えて、余裕を持ったスペースや可変性のある設計にすると良いでしょう。

 

ガレージハウスには税制メリットがある

ガレージハウスには、毎年かかる固定資産税に関するメリットもあります。住宅の中でも、一定の条件を満たしたガレージ部分は、固定資産税の課税対象から除外されます。条件は、「ガレージ部分の床面積が、延べ床面積の1/5以下」であること。この条件を満たすことで、ガレージ部分の評価額が固定資産税の計算外となり、節税効果が期待できます。特に都市部では固定資産税が高額になることもあり、長期的な住宅コストに差が出てくるため事前に確認しておきましょう。

ガレージハウスにあると嬉しい設備

より快適で実用的なガレージハウスにするために、あると嬉しい設備をいくつかご紹介します。

換気扇

車やバイクの排気ガスは、閉め切った空間に溜まりやすく、健康への影響が懸念されます。また、ガレージに排気ガスがこもってしまうと、居住スペースにまで臭いが漂ってしまいます。換気扇を設置しておけば、排気ガスや臭いを屋外に排出でき、空気の循環も良くなります。

人感センサーライト

ガレージは外からの光が入りにくいため、自動点灯する人感センサーライトがあると便利です。人を感知してライトが点くので、暗がりでスイッチを探す手間も省け、消し忘れ防止にもなります。また、防犯面でも効果があり、不審者侵入の抑制にも繋がります。

エアコン

ガレージ内でメンテナンスなどの作業を行う場合、長時間になることもあるので、温度調整ができると良いでしょう。エアコンを設置すれば、1年を通して快適な作業環境が整います。一部を趣味部屋や作業スペースとして活用したい人には特におすすめです。

洗面シンク

洗面シンクがあれば、手洗いや洗車、水掃除などに便利です。汚れた状態で室内に入ることも防げるため、衛生的にも効果的でしょう。また、掃除や軽い洗い物に使うなど、多目的に活用できます。

監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

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