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家づくり
“長持ちする家”ってどんな家?耐久性を高める工夫いろいろ紹介!
せっかく家を建てるなら、長く快適に住み続けられるように、耐久性の高い家に住みたいものです。
建物は築年数とともに劣化していくため、いずれ寿命を迎えるのは自然なことです。
しかし、日本の建設技術が低いわけではありませんが、世界的に見ると日本の家の寿命は短いとも言われています。
その理由には、地震が多く、湿度の高い日本特有の気候や、文化的背景が関係していると考えられます。
耐久性は、構造や材質、設計、建設後のメンテナンスなど、さまざまな要因に左右されます。
そこで今回は、長持ちする家の条件と耐久性を高める工夫について解説します。
目次
家の寿命はどれくらい?
日本の家の寿命は一律ではないため、建物の構造によって「法定耐用年数」という目安を設けています。ただし、法定耐用年数に達したら寿命を迎えて住めなくなるわけではありません。
法廷耐用年数とは?
法廷耐用年数とは、国が定めた建物を継続して使用できる年数の目安です。構造ごとの基準は次のとおりです。
・木造住宅:22年
・鉄骨造:34年
・鉄筋コンクリート造:47年
一般的な一戸建て住宅では、木造住宅に当てはまるケースが多いでしょう。法定耐用年数に達すると、建物の資産価値はゼロになりますが、これは住めなくなるという意味ではなく、税務上での減価償却費の計上が終わるというだけです。法定耐用年数=建物の寿命ではないので、適切なメンテナンスを行っていれば、法定耐用年数を超えても長く安心して住み続けることが可能です。
実際には何年持つの?
木造住宅なら何年持つ、というように寿命を明確に断言することはできません。立地環境や暮らし方、メンテナンスの仕方など、それぞれの建物で違いがありますし、木造住宅は材質的にもその差が出やすい構造でもあります。先述のように、木造住宅は法定耐用年数が22年とされているものの、築30年、築40年の中古物件も珍しくありません。なかには築70年、80年を超える住宅もあり、神社仏閣のように築100年以上保たれている木造建設も存在します。国土交通省では、適切な維持管理を行った場合の「木造住宅期待耐用年数」を次のように公表しています。
・フラット35基準程度:50~60年
・劣化対策等級:75~90年
・長期優良住宅認定:100年以上
これらはあくまで目安ですが、適切な維持管理で建物の寿命を大きく伸ばせることが分かります。
長持ちする家の5つの条件
長持ちする家には共通する条件があります。注目すべきは以下の5つです。
・耐震性
・耐久性
・耐水性
・リフォームのしやすさ
・メンテナンスのしやすさ
それぞれのポイントを解説します。
耐震性
地震大国とも言われる日本。住宅の耐震性は、長持ちさせるために欠かせないポイントです。耐震性の強度は「耐震等級」で表され、目安は以下のとおりです。
・耐震等級1:震度6~7強クラスの地震で倒壊しない水準
・耐震等級2:等級1の1.25倍の強度。長期優良住宅、学校や病院などと同等
・耐震等級3:等級1の1.5倍の強度。消防署や警察署のような施設と同等
耐震性は「基礎構造」「建物の重さ」「耐力壁」「耐震壁や耐震金物の配置」「床の耐力」など、総合的なバランスで変わってきます。
耐久性
建物の寿命を左右する大きな要素が、使用する材質の耐久性です。例えば、ヒノキやクリ、ケヤキなどは湿気や害虫に強く、木材の中でも耐久性が高いととされています。外壁や屋根の塗料にも耐久性に優れた素材を選ぶことで、結果的にメンテナンス頻度を減らし、寿命を延ばせるでしょう。
耐水性
水に弱い特徴がある木造住宅は、湿気や雨などの影響で、カビやシロアリ被害、材質の腐敗などを起こしてしまう可能性があります。そのため、防水対策と湿気対策が欠かせません。軒や庇を設けることで外壁の雨だれを防ぐとともに、強い日差しによる劣化も防げます。壁の中の結露を防ぐことも大切なポイントで、外壁材の空間の通気性を良くする外壁通気工法が効果的です。
リフォームのしやすさ
築年数と共に劣化することは防ぎようがありませんし、家族構成やライフスタイルも変わってくるので、それに合わせて変化できることも長く住み続けるためのポイントです。そのために重要なのが「リフォームのしやすさ」。将来を見据えてリフォームしやすい構造や間取りにしておくと、コストを抑えつつ快適な住まいを維持できるでしょう。
メンテナンスのしやすさ
どんなに耐震性や耐久性に優れた家だとしても、メンテナンスを怠ると寿命は縮んでしまいます。定期的な点検とこまめな修繕が、家の寿命を延ばすポイントです。
・外壁のひび割れ・塗装の劣化補修
・屋根や屋根裏の破損チェック
・水まわりや配管の劣化確認
また、交換しやすい仕様や修繕しやすい材質を選んでおくと、維持管理も楽になり、定期的なメンテナンスの負担を減らすことに繋がります。
家の寿命を長持ちさせるためのコツ
家を長持ちさせるには、定期的なメンテナンスが基本です。さらに、次のような工夫を取り入れると、より効果的に家の寿命を延ばせるでしょう。
結露から守る仕組み
冬場に窓が結露しているのをよく見かけませんか?結露がひどいと、カビや腐敗の原因となって住宅寿命を縮めてしまいます。結露がしにくい環境にするには、断熱性の高さが大きなポイントになります。断熱性の高い家は、結露を抑えて家を長持ちさせるだけでなく、室内の温度を保つことで電気代の節約にもなるメリットがあります。
シロアリ調査は必須
木造住宅の天敵とも言えるシロアリ。シロアリが発生し被害が進むと、建物の基礎まで損傷してしまう可能性があり、家の寿命を大きく縮める恐れがあります。定期的な調査や予防工事で、早めに対策しておきましょう。
通気性の良さを心掛ける
湿気がこもると木材は腐食しやすくなります。
換気システムや通気性の高い構造を取り入れることで、材質への負担を軽減し、長寿命な家づくりが可能です。換気システムの導入や通気性の良い構造を採用し、材質に負担を掛けない家づくりができると良いでしょう。
監修 野村 綾乃氏
株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役
大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。