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“掃除しやすい家”に共通する5つの設計ポイント
「掃除が苦手・・・」という声をよく耳にしますが、実は単に掃除が苦手なのではなく「掃除がしにくい家」であることが原因の場合もあります。
「掃除が苦手=掃除が面倒くさい」という意識と結びついており、掃除しやすい環境なら“掃除が苦手”という意識は自然と薄れるものです。
家づくりの段階で工夫すれば、“掃除がしやすい家”にすることは十分可能です。
今回は、掃除がしやすい家のメリットと、共通する設計ポイントをご紹介します。
目次
掃除がしやすい家のメリット
掃除の目的は、ただ家をきれいに保つことだけではありません。 清潔な環境を維持することで、家事効率や健康面、家そのものの寿命など、さまざまなメリットがあります。掃除がしやすい家にすることで得られる主なメリットを解説します。
掃除をする習慣がつきやすい
掃除がしやすい家は、日常的に掃除する習慣をつけやすい環境です。 一度にまとめて掃除するよりも、細めに行えば短時間で済み、無理なくきれいな状態を保てます。
家事がスムーズで時短になる
ロボット掃除機で床掃除を済ませるなど、短時間で効率よく掃除ができます。 部屋がきれいだと洗濯や料理など他の家事にもすぐ取りかかれ、全体的な家事効率もアップ。 逆に散らかった環境では、まず片付けや掃除をしてからでないと家事を始められず、負担が大きくなってしまいます。
物が整理しやすくなる
清潔な状態を保てていればスペースに余裕が生まれ、物の整理整頓がしやすくなります。 掃除が行き届いていないと物が増えやすく、棚の上などがホコリで使えないなど、収納スペースを有効に使えません。
健康的な住まい環境が維持できる
掃除が行き届いていないホコリや湿気の多い環境は、カビやダニが発生しやすく、ハウスダストによるアレルギーや喘息など健康被害を招く恐れがあります。 特に寝室や脱衣所など湿気の多い場所は要注意。掃除しやすい環境づくりは健康管理の面でも大切です。
家のメンテナンスにも有効
掃除をしていると家の細かい部分にも目が行き届き、不具合にも早く気づけます。 例えば、結露跡や壁紙の剥がれ、水回りの水漏れなどを初期段階で見つけられれば、修繕費を抑えて家を長持ちさせることにつながります。 室内だけでなく、外壁や玄関まわりの掃除もメンテナンス確認に有効です。
掃除がしやすい家に共通する5つの設計ポイント
掃除がしやすい家には共通する5つの設計ポイントがあります。どれも難しいものではなく、少し意識するだけで掃除のしやすさがぐんと高まります。
凸凹の少ない間取り
掃除がしやすい家とは、複雑にせずにシンプルにすることが基本です。凸凹のある間取りは、隅にホコリや汚れが溜まりやすくなります。四角形のシンプルな間取りであれば隅は4箇所ですが、複雑にするとその数が増えていきます。また、床の段差はホコリが溜まりやすく、ロボット掃除機の妨げになって充電基地に戻れないこともあるため、段差や障害物はできるだけ減らしましょう。
水まわりをスッキリとシンプルに
水まわりは、家の中でも掃除がしにくい場所で、キッチン・浴室・トイレは特に汚れやすいです。物が多いと物をどかしてからの掃除が億劫になりやすいため、余計な物は置かず、作業動線をシンプルに保つことが大切です。収納をしっかり確保して「出しっぱなし」を防ぎましょう。
掃除道具は出しやすく
掃除道具が取り出しにくいと、掃除をするハードルが上がって習慣化しにくくなります。掃除機・洗剤・掃除用タオルなどをまとめて収納できる「掃除ステーション」をつくっておけば、家族全員がどこに道具があるか把握しやすくなり、気づいたときにサッと掃除できます。
飾り棚やオープン収納は最小限に
「見せる収納」を取り入れる家も増えていますが、ホコリが溜まりやすく掃除がしにくい場所でもあります。 飾りたいものは最小限にし、ガラス扉付きの棚やクリアボックスを活用すると掃除しやすくなります。「飾る場所を絞る」ことも掃除をラクにする大切なポイントです。
汚れにくい素材を使う
掃除のしやすさだけでなく、そもそも「汚れがつきにくい素材」にすることも大切です。床材なら耐水性の高いクッションフロアやフロアコーティングを施したものを選ぶと安心。素材選びの段階から掃除の手間を減らせる工夫をすると良いでしょう。
【場所別】掃除をしやすくするためのポイント
前述の「掃除がしやすい家」の特徴を踏まえて、場所ごとに取り入れやすい設計の工夫を紹介します。家づくりの段階から意識しておくと、日々の掃除がラクになります。
リビング
家の中心となるリビングは、なるべく段差や凸凹を少なくし、シンプルな形状にするのが基本です。壁紙や床材は、汚れが落としやすく傷がつきにくい素材を選びましょう。また、落ち着いた色を選べばホコリや汚れも目立ちにくく、見た目の清潔感を保ちやすくなります。物は最小限にして、空間をスッキリ見せることで掃除の手間も減らせます。
キッチン
キッチンは汚れやすい場所ですが、食材を扱うため清潔さが欠かせません。シンクはステンレス、ワークトップは人工大理石など、汚れを落としやすく耐久性のある素材を選ぶと安心です。IHクッキングヒーターならガスコンロに比べて油はねや焦げ付きが少なく、お手入れも簡単です。
浴室・トイレ・洗面所
水回りは、カビや水アカがつきにくい素材を選ぶのが基本です。設備面でも掃除の負担を減らすことができます。例えば、センサーで作動するタッチレス水栓なら蛇口に触れずに使えるため、水アカや指紋汚れを軽減。また、便器を床から浮かせたフロートタイプのトイレは、床掃除がしやすく近年人気を集めています。
照明
住宅の照明にダウンライトを取り入れることが増えています。天井に埋め込むダウンライトは凹凸が少なく、シーリングライトやスポットライトに比べてホコリが溜まりにくい照明。デザイン性が高く、空間をすっきり見せられるので、掃除のしやすさとインテリア性を両立できます。
収納
十分な収納スペースの確保は、掃除のしやすさに直結します。 収納が不足していると、居住スペースに物があふれやすく、掃除もしづらくなってしまうので気を付けなくてはいけません。収納内は物の定位置を決めて詰め込みすぎないようにしましょう。「出しやすく・戻しやすい」収納計画が、日々の片づけと掃除をスムーズにします。
監修 野村 綾乃氏
株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役
大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。