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暮らし
“香りのある家”のススメ。五感に響く住まいづくり
香りが良い住まい空間は、それだけで心が落ち着き、自然と深呼吸をしたくなるような安心感を与えてくれます。
家具や照明、インテリアにこだわる方は多いですが、「香り」もまた、空間の印象を大きく左右する大切な要素のひとつです。
朝のコーヒーの香りで目が覚めたり、木のぬくもりを感じる家の匂いで安心したり、人は1日の中で何度も香りに触れています。
香りは五感の中でも記憶と感情に深く関わり、住まいの「心地よさ」や「幸福度」にも影響を与えるものです。
そのように大きな印象を残す一方で、強すぎる香りや不快な匂いが混ざると、せっかくの空間も悪い印象を与えてしまいます。
大切なのは、“バランスよく香りを取り入れる”こと。
今回は、五感に響く香りのある暮らしの魅力と、家の中で香りを上手に活かすポイントをご紹介します。

目次
五感に感じる”香り”の効果
「香り」とひと口に言っても、その種類や特徴は数えきれないほどあります。それぞれの香りが持つ特徴や作用を知ることで、目的に合わせた使い方が可能になります。気分や体調に合わせて香りを選べば、暮らしはより豊かで心地よいものになるでしょう。
リラックス&リフレッシュしたいとき
一日の疲れを癒したいときや、穏やかに過ごしたい夜には、ラベンダー・ベルガモット・カモミールなどの香りがおすすめです。これらは自律神経を整え、精神的な緊張をやわらげる効果があるとされています。リビングや寝室などでアロマアイテムを使い、やさしく香りを漂わせることで、まるでリゾートホテルのような癒しの空間を演出できます。特に就寝前に少しだけ香らせると、睡眠の質が高まるといわれています。
集中したいとき
仕事や読書、勉強などに集中したいときには、レモン・ペパーミント・ローズマリーといったスッキリした香りが効果的です。頭が冴えて気持ちが前向きになり、自然とやる気も湧いてきます。デスク周りやワークスペースでアロマを炊くだけでも、集中力が高まる環境を整えられるでしょう。香りは「空間を整えるスイッチ」としても大きな役割を持っています。
心地よい香りの空間にするための基本
香りを取り入れるうえで大切なのは、「好きな香りを足す前に、余計なニオイを取り除く」こと。生活臭が残っていると、どんなに良い香りも混ざってしまい、本来の魅力が半減してしまいます。清潔な空気と整った空間があってこそ、香りはその特徴を最大限に発揮します。ここでは、心地よい香りの空間づくりの3つの基本を紹介します。
換気をしてニオイをこもらせない
現代の住宅は高気密・高断熱化が進み、空気が逃げにくい構造になっています。そのため、気づかないうちに生活臭がこもりやすくなっているのです。1日に数回、窓を開けて空気を入れ替えるだけでも、こもったニオイを軽減できます。特に、料理後やお風呂上がりは、換気扇と窓開けを併用して空気を循環させるのがおすすめです。定期的な換気は、香りを楽しむだけでなく、住まい全体の健康にもつながります。
掃除をしてニオイの元をなくす
心地よい香りの空間をつくるために欠かせないのが「掃除」です。キッチンの排水口や洗濯機まわり、洗面台などは特にニオイが発生しやすい場所。汚れやすい箇所を清潔に保つことで、雑菌やカビの繁殖を防げます。また、玄関や脱衣所などの狭い空間は空気がこもりやすいため注意が必要です。サーキュレーターで空気を循環させたり、消臭効果のある炭や重曹を置いたりするのも効果的。清潔で快適な空間が整えば、香りアイテムの魅力が一層引き立ちます。
香りのアイテムを上手に活用
掃除と換気で空間を整えたら、香りを漂わせる最終ステップです。アロマディフューザーやキャンドルなど、香りのアイテムにはさまざまな種類があります。デザイン性の高いものも多く、インテリアとしても楽しめます。お気に入りの香りをお気に入りのアイテムで楽しめば、満足感もより一層高まるでしょう。カフェで過ごす時間も心地よいですが、好きな香りに包まれた自宅で過ごすひとときこそ、心からくつろげる“自分だけの癒し時間”になりそうです。
香りを感じる空間がつくれるアイテムの特徴
香りのアイテムは、電気を使うもの、火を使うもの、置くだけで香るものなどさまざま。デザイン性を重視するか、手軽さを重視するかで選択は変わります。ここでは代表的なアイテムの特徴を紹介します。
アロマディフューザー
超音波式・加熱式・気化式など、タイプも多彩なアロマディフューザー。水蒸気とともにやさしく香りを広げるため、リビングや寝室など広めの空間にも適しています。おしゃれなデザインのものも多く、手軽に香りのある暮らしを始めたい方におすすめです。
ルームスプレー
シュッとひと吹きで空気をリフレッシュできるスプレータイプ。来客前や掃除後など、気分を変えたいときにサッと使える手軽さが魅力です。カーテンやソファなどに軽く吹きかけると、繊維に香りが残り、良い香りが長持ちします。
アロマキャンドル
炎のゆらぎと香りのダブル効果で、心も体もリラックスさせてくれます。夜のくつろぎ時間やバスタイムにもぴったりで、嗅覚だけでなく視覚でも楽しめるアイテムです。火を使うため、安全面に注意しつつキャンドルホルダーなどを活用しましょう。
ポプリ・サシェ
火や電気を使わず、自然に香りを楽しめるアイテム。玄関やクローゼット、洗面所などコンパクトな空間に適しています。ナチュラルな雰囲気を演出でき、インテリアのアクセントにもなります。
木の家
木の香りには、人の心を落ち着かせる効果があるといわれています。無垢材を使った家では、自然素材が持つやさしい香りが空間を包み込み、人工的な香料では得られない、天然木ならではの癒しをもたらします。木の家は、自然に漂う木の香りが“天然のアロマ”となるのです。
理想の香りを楽しむための注意点
家の中で理想の香りを楽しむには、3つの注意点があります。安心・安全に香りを取り入れ、心地よく使用するために確認しておきましょう。
香りを強くしすぎない
香りはほんのり自然に感じるくらいがちょうどいいバランスです。強すぎる香りは、かえってストレスの原因になることもあります。部屋の広さや風通しを考慮しながら、調整しつつ楽しみましょう。
子どもやペットにも安全な使い方
アロマオイルの中には、小さな子どもやペットに刺激が強い成分を含むものもあります。天然成分でも刺激や誤飲には注意しなくてはいけません。使用前に安全性を確認し、香りの強さを調整しながら手の届かない場所で使用しましょう。
いろいろなニオイを使い過ぎない
空間ごとに香りを変えるのは効果的ですが、混ぜすぎるのは逆効果です。家全体で香りのテーマを決めると、どの部屋に入っても違和感がないでしょう。例えば、「リビングは柑橘系」「寝室はラベンダー系」など、香りの作用を活かして使い分けるのもおすすめです。
監修 野村 綾乃氏
株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役
大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。



