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暮らし
家の“音ストレス”を防ぐ設計とは?防音・遮音の考え方
家づくりを考える際、多くの人が間取りやデザイン、設備などを一生懸命考えます。
しかし、「理想のマイホームができた!」と思ったら、実際に住み始めてから不満に気が付くケースも少なくありません。
不満に感じるポイントはさまざまですが、よくあるのが「音の問題」です。
・子どもの足音が思ったより響く
・家族の生活音が気になる
・外からの車の音や近隣の音が気になる
このような「音ストレス」は、快適な暮らしに与える影響が大きい問題です。
特に近年は、テレワークの普及や家で過ごす時間の増加により、住宅環境への関心が高まっています。
音ストレスの問題は後から完全に解決できるものではなく、設計段階から考えておくことが大切です。
今回は、家づくりで知っておきたい音ストレスの原因や、防音・遮音を考えた設計ポイントについてご紹介します。

目次
暮らしの中で感じる音のストレスとは?
住宅における音の問題は、意外と身近なところに潜んでいます。外部からの音だけでなく、家族の生活音も音ストレスに・・・。よくある音ストレスの種類や特徴を解説します。
生活音による音ストレス
家の中で発生する音の多くは、日常生活の中で生まれる「生活音」です。
・子どもが走る足音
・ドアの開閉音
・テレビや音楽の音
・洗濯機や掃除機の音
日常で当たり前の行動が、実は不快に感じる生活音の要因になり得ます。特に2階建て住宅の場合は、上階の足音や振動音が気になるケースも多いです。家族間でも生活リズムが異なると、夜遅くの生活音がストレスになることもあるでしょう。住宅の構造や間取りによって音が響きやすくなるため、設計段階での対策が必要になります。
外部からの音ストレス
音ストレスは家の中だけでなく、外部からの音によっても発生します。
・道路を走る車やバイクの音
・電車の走行音
・近隣住宅の生活音
・学校や公園の声
立地によっては、このような外部の音が日常的に聞こえることもあります。特に交通量の多い道路沿いや都市部では、外部の騒音対策を意識した住宅設計が欠かせません。
音ストレスの対策ができる4つの設計ポイント
住宅の音問題は、設計や構造、建材によっても大きく変わります。そのため、設計段階で音ストレス対策ができていると、安心感の高い家づくりができるでしょう。音ストレスを軽減するための、主な設計ポイントを4つ解説します。
①高気密・高断熱な構造
近年の住宅では「高気密・高断熱」が重視されています。空調的なメリットが高い高気密・高断熱ですが、実は防音性能への影響も大きいです。住宅の隙間が少ないほど外部の音は入りにくく、室内の音も外へ漏れにくくなります。また、断熱材は熱だけでなく音の伝わり方にも効果的です。
②遮音性の高い住宅素材を採用
住宅の壁や床、窓などの素材によっても音の伝わり方は変わります。
・防音性能の高いサッシ
・複層ガラス(ペアガラス)
・厚みのある壁構造
・遮音性の高い床材
遮音性の高い素材や構造を採用することで、外部からの音を軽減することが可能です。特に窓は音が入りやすい場所でもあるため、窓の性能は音対策に重要なポイントになります。
③間取りを工夫する
音ストレスの対策はいくつかありますが、間取りを工夫することも効果があります。効果的な間取りの考え方は、以下のような例があります。
・寝室を道路側から離す
・子ども部屋と寝室を離す
・水まわりを生活スペースから離す
ポイントは「音が発生しやすい場所」と「静かに過ごしたい場所」を分けること。間取り設計の段階で生活をイメージしておくと、生活音の影響を軽減することができます。住宅設計では、デザインや動線だけでなく、音の伝わり方も意識した間取り設計が大切です。
④防音性の高い建築構造
住宅の構造そのものも、音の伝わり方に影響します。床構造の厚みや壁内部の構造、天井の構造などによって、振動音や衝撃音の伝わり方が変わります。例えば、子どもの足音などは「振動音」として響くため、床構造の工夫によって軽減できることも多いです。床・壁・天井など、他の部屋に面する部分の構造によって防音性を高めれば、効果的な音ストレス対策につながります。
音ストレスが軽減することでメリットたくさん!
住宅で防音・遮音環境が整うと、日々の暮らしは大きく変わります。イライラや不満を抱えながら生活するのは、なるべく避けたいですよね。音ストレスを軽減することで得られるメリットを解説します。
子育てがしやすくなる
小さな子どもがいる家庭では、足音や遊び声を気にしてしまうこともあります。防音性の高い住宅であれば、こうした音の心配が減り、子どもがのびのびと過ごしやすい環境を実現できます。子育てのしやすさは、子どもだけでなく家族にとっても精神的な安心感に繋がるでしょう。
ライフスタイルの違いも気にならない
家族の生活リズムが違う場合、音の問題がストレスになることが多いです。早朝に起きる人と夜遅く帰宅する人が家族にいると、生活時間が異なるため音が気になる環境になってしまいます。防音対策がしっかりした住宅であれば、ライフスタイルの違いがあっても、お互いの生活リズムを尊重しながら快適に暮らすことが可能でしょう。
快適なテレワークが可能
在宅勤務が増えたことで、自宅で仕事をする人も増えています。オンライン会議や集中して作業を行うためには、静かな環境が必要です。遮音性の高い住宅であれば、外部の騒音や家族の生活音の影響を受けにくく、快適なテレワーク環境を整えることができます。
子どもの勉強も集中力アップ
住宅の音環境は、子どもの学習環境にも影響します。外からの騒音や家の中の生活音が少ない環境は、集中しやすい学習空間を作りやすくなります。特に受験期などは、静かな環境が学習効率を上げて大きなメリットになるでしょう。
睡眠の質が向上
音ストレスは、睡眠の質への影響も大きいです。交通音や生活音が気になる環境では、眠りが浅くなったり、夜中に目が覚めたりすることがあります。遮音性の高い住宅は静かな環境を保ちやすく、快適な睡眠につながる住まいを実現できます。睡眠は次の日の仕事や勉強にも大きく関わるので、健康的な体調を維持するためにも重要視しましょう。
音ストレス対策に欠かせない「防音と遮音」の違いとは?
家づくりの音対策を考える際によく出てくる言葉が「防音」と「遮音」です。似たような言葉ですが、実は意味が少し異なります。「遮音」とは、音を壁や床などで遮って、反対側に伝わりにくくするという意味です。例えば、壁の厚みを増やしたり、遮音性能の高い窓を採用したりすることで、音の通過を防ぎます。一方の「防音」は、音が外に漏れたり外から入ってきたりすることを総合的に抑える方法です。遮音に加えて、吸音材を使って音を吸収するなど、複数の方法を組み合わせて対策するケースがあります。住宅の場合は、防音室のような完全な防音を行うことは少なく、遮音性能を高めることで生活音や外部の騒音を軽減する設計が一般的です。家づくりの設計段階で、遮音と防音の違いを理解した上で、どの程度の音対策が必要なのかを考えることが大切です。
監修 野村 綾乃氏
株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役
大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。



