家づくり

“売れる家”の共通点とは?将来の資産価値を意識した家づくり

近年、日本の不動産価格は大きく上昇しています。
マンション価格の高騰が話題になりがちですが、注文住宅の購入費用も例外ではなく、数年前と比べて高くなっているのが現状です。
購入した住宅は「一生住むもの」というイメージが強いですが、実際には転勤や家族構成の変化、住み替えなどによって、将来売却する可能性も十分にあります。
だからこそ、これから家を建てる人は目先の住みやすさだけでなく、将来の「資産価値」も意識した家づくりを考えておくことが大切です。
不動産市場では、同じ一戸建て住宅でも「売れる家」と「なかなか売れない家」に分かれます。
この「売れるか、売れないか」こそが、まさに資産価値として表れる基準です。
今回は、不動産価格が上昇している現在の背景を解説するとともに、将来も市場で評価されやすい「売れる一戸建て住宅」の共通点についてご紹介します。

なぜこんなに不動産価格が上昇しているの?

住宅購入を検討している人の多くが、「家が高くなった」と実感しているのではないでしょうか。ここ数年、不動産価格は全国的に上昇傾向にあり、その背景には大きく分けて以下の要因があります。

建設資材の高騰

不動産価格上昇の大きな要因の一つが、建設資材の価格高騰です。木材、鉄鋼、断熱材、設備機器など、住宅に使われるあらゆる資材の価格が数年前から大きく値上がりしています。特に木材価格は、世界的な需要増加や物流コストの上昇もあり、住宅業界に大きな影響を与えています。住宅は多くの資材を組み合わせて建てるため、こうした材料費の上昇はそのまま建築費に反映され、結果として注文住宅の価格が高くなる傾向が続いています。

人件費の高騰や人材確保難

不動産価格を押し上げているもう1つの要因が、建築業界の人手不足です。人手不足はさまざまな分野で深刻な問題となっていますが、建設業界も例外ではありません。大工や職人などの建築人材は年々減少しており、若手の担い手も不足しているのが現状です。さらに働き方改革の影響もあり、以前のような長時間労働が難しくなったことで、結果的に人件費は上昇傾向にあります。住宅は多くの職人が関わり、人の手でつくられるもの。そのため、人件費の上昇は不動産価格に直接影響を与えてしまうのです。

不動産価格上昇も地域差がある

不動産価格が上がっているとはいえ、すべての地域で同じように値上がりし続けているわけではありません。都市部や人気エリアでは利便性が高く、住宅需要が安定しているため不動産価格も上昇しやすい傾向にあります。一方、人口減少が進む地域では住宅需要が弱く、価格が上がりにくい、あるいは下落するケースも少なくありません。ニュースなどで「値上がり」のイメージが強くなっていますが、土地価格は地域差があるという事実も、資産価値を考慮する上で知っておくべき大切なポイントです。

“売れる”一戸建て住宅の共通点

将来、一戸建て住宅を売却する可能性を考えた場合、不動産市場で売れやすい家にはいくつかの共通点があります。資産価値に関わる、特に重要なポイントを紹介します。

人気のエリア・最寄り駅/交通アクセスの利便性

一戸建て住宅の資産価値を左右する最大の要素は「立地」です。不動産業界では「不動産の価値は立地で決まる」と言われるほど、場所選びは大きな影響力を持っています。市場で評価されやすい代表的なポイントは、以下の4つです。

・最寄り駅までの距離が近い

・通勤や通学がしやすい

・都市部へのアクセスが良い

・スーパーや病院など、生活利便施設が充実している

建物は年月とともに価値が下がりますが、土地の価値は立地によって保たれるのが特徴です。そのため、資産価値を意識するなら、まずは立地選びを慎重に行うことが大切です。

土地の形状や立地環境

「土地の形状」も将来の売却に大きく影響する、見落とせないポイントです。例えば、以下のような土地は敬遠されやすく、売れにくい傾向があります。

・極端に細長い土地

・奥まった旗竿地(はたざおち)

・高低差の大きい土地

特殊な形状の土地は建築条件が制限されることが多いため、購入希望者が減ってしまう可能性があります。逆に、整形地と呼ばれる四角形の土地や、前面道路の幅が広い(6m以上など)環境は住宅を建てやすいため、購入希望者も多く売りやすいと言えます。

災害や治安リスクの少ない周辺環境

地震をはじめとする自然災害の多い日本では、住宅購入者の防災意識も高いです。そのため、災害リスクの低いエリアを選ぶことは、資産価値を保つ上で重要なポイントです。また、防犯面でも周辺の治安はしっかりチェックしておきましょう。主に確認しておきたいのは以下の4つです。

・洪水や浸水のリスク

・土砂災害の危険区域

・地盤の強さ

・周辺の治安や街の雰囲気

災害リスクについては、各自治体が発行するハザードマップで確認でき、万が一の危険を避けやすくなります。安心して暮らせる環境は、将来の買い手にとっても大きな魅力です。

長期的に安心できる住宅構造

住宅の資産価値を考える上で、長期的に見た建物の品質や耐久性も重要です。例えば、以下のような住宅は市場での評価が高くなる傾向があります。

・耐震性能が高い住宅

・長期優良住宅

・メンテナンスがしやすい住宅

住宅は年月とともに劣化していきますが、耐久性の高い住宅であれば「長く安心して住める家」として資産価値を保ちやすくなります。また、将来の修繕を見据え、定期的なメンテナンスがしやすい設計にしておくことも大切なポイントです。

省エネ対策ができた設備

電気代やガス代が上がり続けている近年は、住宅の「省エネ性能」も重要な評価基準になっています。

・高断熱・高気密住宅

・高効率給湯器

・太陽光発電や蓄電池

・省エネ設備

光熱費の高騰が続く現在、毎月のランニングコストを抑えられる住宅は大きなアピールポイントになります。今後は国が定める住宅の省エネ基準もさらに強化されていく傾向にあるため、省エネ性能の高さは「売りやすい家」の大きなアドバンテージになっていくでしょう。


資産価値を意識した家づくりで失敗しないための注意点

資産価値を意識した家づくりは大切ですが、ポイントを間違えると日々の暮らしで後悔につながる可能性もあります。家づくりで失敗しないためにも、以下の注意点を理解しておきましょう。

住みやすさが大前提

住宅は資産であると同時に、日々の生活を営む場でもあります。資産価値を意識しすぎて、自分たちにとって住みにくい家になってしまっては本末転倒です。生活動線や必要な収納量は、家族構成やライフスタイルによって異なります。まずは「日々の暮らしやすさ」を家づくりの最優先事項にしましょう。「住みやすい家」であることが結果的に資産価値にも繋がるため、偏った考えでの家づくりは注意しましょう。

個性の強すぎる家づくりは禁物

注文住宅は自由度が高い分、デザインや間取りにこだわりすぎてしまうケースもあります。しかし、あまりにも個性的な住宅は、将来売却する際に「買い手」が限られてしまうことも。極端に特殊な間取りや個性的すぎる外観デザインは、万人受けしにくいため注意が必要です。自分たちの好みを取り入れることは大切ですが、なるべく多くの人が「使いやすい」「住みたい」と感じる普遍的なデザインを意識することも、資産価値を保つためのポイントです。

無理のない住宅購入計画

住宅は多くの人にとって、人生で最も大きな買い物です。住宅価格が上昇しているからと焦ってしまい、無理な住宅ローンを組むと、将来の家計に大きな負担がかかってしまいます。金利の上昇や物価高、教育費の増加など、将来何が起こるかはわかりません。社会情勢やライフスタイルの変化にも対応できるよう、余裕を持った資金計画を立てることが何より大切です。住宅は「資産」であると同時に「生活の基盤」です。長く安心して暮らすためにも、無理のない計画で家づくりを進めましょう。

監修 野村 綾乃氏

株式会社アンズコミュニケーションズ 代表取締役

大手証券会社のOL を経てラジオ業界に転身。ラジオ番組パーソナリティに。現在の担当番組は、『笠原将弘の賛否両論/東海ラジオ』『市政情報/エフエム岡崎』。番組構成作家を行いながら、住宅ライターとしても住宅系雑誌・WEBサイトでのコラム・取材記事の執筆、監修、講師で活躍中。

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