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バリアフリー対応の家にするためのポイントを解説!

バリアフリー対応の家について、場所別のポイント解説を混じえながら詳しく説明します。

1.バリアフリーとは?快適な家にするためのポイント

近年「バリアフリー 家」とインターネットで検索する人が増えています。このようにバリアフリー対応の家が注目されるようになった理由としては、住宅内での事故が多いことと関係しています。リビングでの事故、段差や階段でのつまずき、浴室での転倒。高齢者・障がい者・子供がいる家庭では特にこうした事故が起きやすいです。したがって未然に事故を防ぐために、家をバリアフリー対応にする人が急増しているという訳です。

バリアフリーとは

「バリアフリー」とは「障壁(バリア)を取り除く(フリー)」という意味です。
「障壁」とは、家で生活する上で妨げとなるものを指します。そうした「障壁」を取り除き、高齢者・障がい者・子供を含む全ての人が快適に住めるようにするのがバリアフリー対応の家の役目です。快適な家にするために押さえておく基本的なポイントがいくつかあります。
まず段差をなくすことです。車いすでのスムーズな移動を可能にしたり、高齢者のつまずき事故を防止したりします。
次になるべく扉を引き戸にすることです。開き戸ですと車いすの人が開けるのに負担が大きく、また高齢者が足を挟む可能性もあります。廊下に手すりをつけたり、床を滑りにくい素材にしたりすることも大切です。
最後のポイントとしては、ヒートショックを防ぐために部屋間の温度差をなくすことです。急激な温度の変化により心筋梗塞などが生じるヒートショックは、冬場の高齢者にとって大変危険です。家の冷暖房設備を適切に配置することで防ぐことができます。このような対策を講じることは、現に高齢者などがいる家庭は勿論、若い世代の家庭でも将来のことを考えれば重要だと言えます。

2.高齢になっても住みやすくためのポイント

上述した基本的なポイントを押さえつつ、場所別にバリアフリー対策をすることでより快適な暮らしを送ることができます。

バリアフリー|玄関・廊下・階段編

玄関をバリアフリー対応にすることで、高齢者の外出がスムーズに運びます。玄関が高い位置にある場合は階段に手すりをつけたり、スロープを設置したりします。玄関の扉は引き戸にすることがおすすめです。扉を開けてから閉まるまでの時間が、ゆっくりである方が挟まれ事故防止になります。玄関の広さを75cm90cmにすると高齢者だけでなく車いす利用者にも便利です。また玄関の床材は雨にぬれても滑りにくいものにしましょう。靴を着脱しやすいように補助スペースを設けたり、手すりを設けたりするのもいいかもしれません。玄関から室内に入るまでの段差はなるべくないほうが望ましいですが、段差はホコリや雨水を防ぐのに役立ちます。10cm前後の段差にとどめておくのがいいでしょう。

 

廊下は広く通りやすい構造にすることが重要です。とくに車いす利用者がいる場合には一方通行で90cm、方向転換には150cmが必要とされています。廊下の床は滑りにくく、車いすが通っても傷まない材質のものを選びましょう。手すりを設ける場合には、使いやすい位置に設置してください。将来の設置を考える場合には、壁に手すり用の下地を前もって入れておきましょう。夜間に暗くなりすぎないよう、照明も適切に設置する必要があります。



階段は高齢者が転落しやすい危険な場所です。登るより降りるほうが危険度は上がります。段差はなるべく低くして、踏み台のスペースを広く取り、段数を多めにしましょう。勾配も緩やかにして手すりも設置してください。階段の材質は滑りにくく、場合によっては滑り止めを付けましょう。夜間に昇降するときのために照明も必要です。足元を照らす補助灯があるととても便利です。また3階まである場合には、ホームエレベーターの設置を検討するのもいいでしょう。

バリアフリー|トイレ編

一日に何度も利用するトイレは、特にバリアフリー対応をしっかりする必要があります。まずトイレの場所は寝室と直結しているのが望ましいです。洗面所や浴室と隣接させるのもいいでしょう。トイレに入るドアを2箇所設けることで移動が楽になります。トイレの室内はなるべく広くすることを推奨します。車いすのまま入れたり、介護者と一緒にトイレに入れたりするスペースが理想的です。手すりを設置したり、便座を自動昇降にしたりすることで、便座に座る負担が軽くなります。トイレの種類は洋式、なにか問題が生じたときのために緊急呼び出しボタンを設置するといいでしょう。冬場になるとトイレはとても冷え込みます。便座を暖房便座にすると共に、床暖房などを設置してヒートショックを防止してください。

バリアフリー|浴室編

浴室も高齢者にとっては危険な場所です。濡れた床で足を滑らせたり、浴槽から上がろうとして転倒したりするケースが多いです。まず浴室への入り口は広く取りましょう。介護者と一緒に入れるよう60cm以上の幅があると使いやすいです。車いす専用のシャワーを使う場合はさらなる広さが必要です。脱衣所と浴室の段差をなるべくなくして、転倒を防止します。浴室の床は滑りにくい材質のものにして、壁や浴槽内に適宜手すりを設置しましょう。


浴槽はなるべく浅いものにしてください。一般的な浴槽の深さが60cm程度ですが、40cm程度の深さにすることで無理なく入浴ができます。浴槽の外側に踏み台を設置したり、浴槽内に傾斜をつけたりして段差をなるべく小さくしましょう。浴槽でなにかあったときのために、緊急呼び出しボタンの設置も重要です。ヒートショック対策も忘れてはいけません。冬場の浴室は特に危険だと言われています。脱衣所と浴室にそれぞれ暖房を付けて暖かくし、両室の温度差をなくしましょう。

バリアフリー|キッチン編

キッチンは長時間立ったまま作業する場所になりがちです。足腰に不安がある高齢者や車いす利用者がキッチンを使用する場合には、座ったままでも調理できるキッチンを選択しましょう。物の出し入れを容易にする自動昇降の吊戸棚収納や、シンクやコンロの下に足元が入れる程のスペースがあると便利です。またキッチンはシンクの水などで床が濡れやすくなります。床は滑りにくい材質のものを選びましょう。さらに火の扱いに不安がある場合には、オール電化のキッチン導入を検討してください。

バリアフリー|リビング編

リビングは家族全員が集まり、リラックスする場所です。高齢者や車いす利用者がいる場合にはその人に合わせ、快適な空間を作る必要があります。高さが低いテーブルや、長時間座っても疲れないソファなど、身の回りの家具をバリアフリー仕様にすることが大切です。またテレビのリモコンなどを誰もが取りやすい位置に置くといった工夫も必要です。リビングの扉や仕切りを極力減らして、いつでも家族の顔が見られるようにするのもいいでしょう。家族構成に応じて、柔軟に対策しましょう。

3.バリアフリー対応の家にするためのポイントのまとめ

一度バリアフリーに対応すれば、生涯その家で安心に暮らせます。費用は発生しますが、所得税や固定資産税の減税が受けられたり、介護保険からの支給や自治体によっては住宅改修費の補助金が出たりするところもあります。分からないことがあれば、お近くのリフォーム会社やケアマネジャーに相談してみましょう。

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監修 株式会社三建コンサル氏

一級建築 代表取締役 原 康人

個人・法人のお客様から土地や建物に関するご相談(空き家、相続、土地建物の売買など)を伺い、ご提案をしながら一緒に解決策を見出しています。建築設計はもちろん、土地の測量、農地転用や市町村の申請書類作成も行っており、「土地から建物の相談役」として 皆様の お役に立てるよう努めています。

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