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つなぎ融資ってなに?|利用の注意点や流れを解説!

住宅購入をご検討された時、住宅ローンではなくつなぎ融資という言葉を聞いたことありませんか?家を建てたいけれど、土地の購入資金や住宅の建設時に支払う資金が足りない、そんな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。これらの資金を借りることができるのが、つなぎ融資です。 今回は、つなぎ融資の概要や利用の流れ、利用の際に注意するべきポイントなどを詳しく解説します。

つなぎ融資って?

そもそもつなぎ融資とはどのようなものなのか、住宅ローンとはどこがどう違うのか、について詳しく解説します。

つなぎ融資とは?

家を買うときの融資というと、住宅ローンを思い浮かべる人が多いでしょう。この住宅ローンは、すでに建てられた住宅を担保にして受ける融資です。そのため、すでに建てられた住宅を購入する際には受けることができますが、まだ住宅が建っていない段階では受けることができません。しかし、これから土地を買って家を建てたい、という人もいるでしょう。そのような場合、土地の購入費や手付金、着工金、、中間金、最終金といった資金が必要です。着工金とは、工事に着工した際、住宅建設会社や建築会社に支払う代金です。中間金は建物建築中間金とも呼ばれます。注文住宅の建築の際、上棟時に住宅建設会社や建築会社に支払う工事代金の一部です。これらの資金を準備するために受けることのできる短期間の融資がつなぎ融資です。

一般的に、住宅ローンの借り入れ資金が入手可能になるまでには、住宅が完成して数カ月から半年以上かかります。そのため、その間に建築費用や土地の購入費用を支払う必要がある場合には、つなぎ融資が必要となる、というわけです。返済方法は金融機関によるものの、多くの場合は住宅ローンが入手可能になった際に一括で返済することになるでしょう。

つなぎ融資の使い方

それでは、つなぎ融資は具体的にどのように使えばよいのでしょうか。例えば、住宅ローンで合計5000万円を金融機関から借り入れるとしましょう。しかし、住宅の着工前に土地代金として2000万円、着工金として700万円、中間金として1000万円が必要だとします。この場合、住宅ローンでは5000万円借りられるものの、住宅ローンが実行されるのは住宅ができた後になるため、借り入れた住宅ローンをこれらの費用にあてることはできません。そこで、住宅ローンとは別に、つなぎ融資で3700万円を借り入れします。このつなぎ融資で借り入れた分は、住宅が完成して住宅ローンが実行されたときにまとめて返済する、というわけです。ただし、当然のことながら、つなぎ融資は住宅ローンの限度額の範囲内でしか受けることはできません。

つなぎ融資の利用の流れ

まずは、土地購入の仮申し込みを行います。土地を販売している不動産会社に買付申込書などを提出しましょう。次に、住宅の工事費用の見積りをいくつかの工事請負会社に依頼し、見積りをもとに工事請負会社を絞り込みます。必要な資金が明確になったら、つなぎ融資に対応している金融機関に融資申請をしましょう。申請時には、必要な資料を提出することが必要です。担保や保証人の提供が必要になる場合もあるので注意しましょう。

融資申請が受理されたら、金融機関や住宅建設会社で審査が行われます。審査では、申請者の収入や資産状況、借り入れ履歴などを確認し、返済能力があるかどうかを判断します。審査に通過すると、金融機関から融資金額や金利、返済までの期間などが提示されます。この条件に申請者が同意すると、融資契約の締結です。融資契約には、借入額、金利、返済期間、返済方法、担保や保証人の条件などが明記されます。融資契約が締結された後、必要な資金が金融機関から融資されます。土地を購入するための費用や住宅の建築費用などに利用しましょう。返済は、住宅ローンの借り入れ資金が入手可能になったら一括で行いうことが多いです。

つなぎ融資のメリット・デメリット

つなぎ融資には、それぞれメリットとデメリットがあります。利用する際には、このことをしっかりと把握しておきましょう。

つなぎ融資のメリットとは?

つなぎ融資のメリットは、何といっても住宅ローンが実行されるまでの間に発生する支払いを一時的に借り入れられる、ということです。土地を購入するための資金や新築の工事資金を調達できます。自己資金が足りなかったので土地の広さやロケーションで見送らざるを得ない、というような事態を回避できます。住宅も希望に沿った理想通りのものにできるでしょう。

つなぎ融資のデメリットについて

一方、つなぎ融資にはデメリットもあります。まず挙げられるのは、住宅ローンよりも利息が高いことです。つなぎ融資もまた金融機関から受ける融資である以上、無利子で借りられるわけではありません。つなぎ融資は返済期間が短く、返済期間中に一括で返済するため、通常の住宅ローンよりも利息が高く設定されていることが多いです。また、この利子は借りている期間が長くなればなるほど多くなります。例えば、天候やハウスメーカーの都合などの理由で当初の予定よりも住宅の完成が遅れてしまうことがあるかもしれません。そのような場合は借入期間が伸びてしまうので、利子分の負担も増えてしまうことをよく留意しておきましょう。ただし、つなぎ融資は住宅ローンよりも利子が高くなるとはいうものの、カードローンなどに比べると低く設定されていることが多いです。そのため、自己資金分をカードローンなどで賄うのであれば、つなぎ融資を利用した方がずっとお得です。

費用がかかる、ということも見逃してはなりません。つなぎ融資は住宅ローンとは別の契約になるため、諸費用や税金も住宅ローンとは別に発生します。具体的には、印紙代(印紙税)や事務手数料、登記費用、団体信用生命保険料などがかかる場合があります。複数回融資を受けた場合には、そのたびごとにこれらの費用が発生することを忘れてはなりません。

つなぎ融資利用時の注意点

つなぎ融資単独の契約はありません。つなぎ融資の契約は、住宅ローンの契約とセットで行なうことが前提となっています。一部のネット銀行などでは、住宅ローンはあるもののつなぎ融資には対応していない、というケースがあります。また、金融機関によっては、つなぎ融資ではない名前で似たような融資を行っていることも多いです。そのため、つなぎ融資を利用したい人は、まずは住宅ローンを受けたい金融機関がつなぎ融資に対応しているか、どのような条件なのかをよくチェックしましょう。そして、他の金融機関の場合ともよく比較検討することが大切です。



つなぎ融資を利用するときの注意点

最後に、つなぎ融資を利用する際に注意するべきポイントをいくつか紹介します。

限度額や期間、回数に注意しよう

つなぎ融資を利用する場合には、限度額や融資期間、融資回数に注意しましょう。例えば、限度額が必要な額以下になる可能性もあります。あらかじめ必要な借り入れ資金を見積もり、つなぎ融資の限度額がそれに十分なものであるかを確認しましょう。次に、期間については、つなぎ融資は短期間の資金調達に適したものであるため、期間が長すぎると金利や手数料が高くなる可能性があります。借り入れ資金が必要な期間をよく考慮し、つなぎ融資の返済期間を最短で設定することが望ましいです。

また、借り入れ回数も金融機関によって異なるので注意が必要です。例えば、イオン銀行のつなぎローンでは着工時と上棟時の2回融資を受けられますが、SBI新生銀行では土地購入代金の融資のみしか受けられません。楽天銀行やソニー銀行は、土地購入代金と着工金、中間金の3回融資が受けられます。

金利や費用について注意しましょう

つなぎ融資を利用する際には、金利や費用をよくチェックしましょう。つなぎ融資は、通常の住宅ローンよりも金利が高いことが多いです。また短期間で一括返済するため、返済負担が大きくなる場合があります。さらに、利用に際しては諸費用がかかることもあります。事前にしっかり確認しましょう。具体的には、金利の水準や返済期間、借り入れ限度額、返済手数料、保証料、保険料、手続き費用などを比較検討し、利用する金融機関や商品を選択する必要があります。また、つなぎ融資は短期間で借り入れを行うため、将来の返済計画も十分に立てる必要があります。つなぎ融資を利用する場合には、借り入れ資金が必要な時期や金額をよく考慮し、自己資金や住宅ローンの借り入れ資金とのバランスを取ることが重要です。

つなぎ融資を上手に利用して理想の家を建てよう!

自己資金が足りないから理想の家を建てることができない、そんな悩みを抱えている人も多いでしょう。しかし、つなぎ融資を上手に活用すれば、住宅ローンによって足りない自己資金分を賄うことができます。ただし、住宅ローンを提供しているすべての金融機関がつなぎ融資に対応しているわけではありません。金利や諸費用も必要です。そうしたメリットとデメリットについて、よく比較検討することが大切です。

監修 大森 英則氏

FP相談室/ファイナンシャルプランナー

主に個人のお客様のお金にまつわる様々なご相談(教育費・住宅費・老後費用など)を承り、お客様の紹介を中心に活動させていただいてます。具体的な事例を交えたわかりやすいご案内が特徴で、企業様や市町村にてセミナーを実施。また同業の営業の方の研修も行っています。金融資格だけでなく、ピンクリボンアドバイザー、認知症介助士、住宅ローンアドバイザーなどの資格を持つ異色のファイナンシャルプランナーです。

https://oshiete.chunichi.co.jp/owari/pro/82/

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